■パット・ハッチンスさんの絵本
「いたずらかいじゅうビリー」シリーズ
Pat Hutchins 1942年イギリス生まれ。リーズ美術専門学校でイラストレーションを専攻。『風がふいたら』(評論社、品切れ)でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。『ティッチ』(福音館書店)オンライン書店ビーケーワン:ティッチ 、『びっくりパーティー』(ポプラ社)オンライン書店ビーケーワン:びっくりパーティー、など多数。
『いたずらビリーとほしワッペン』*『せかい一わるいかいじゅう』*『いたずらかいじゅうはどこ?』*『いたずらかいじゅうビリー』*『いたずらかいじゅうのたんじょうび』
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『いたずらビリーほしワッペン』偕成社

『いたずらビリーほしワッペン』
パット・ハッチンスさく 
いぬいゆみこ やく
偕成社

いたずらわんぱくちびっこかいじゅうビリーの、記念すべき初登園奮闘記。
行けばきっと楽しいし、いいこにしていたらごほうびの「ほしワッペン」がもらえると、なだめられてもすかされても、ビリーは幼稚園になんかまったく行きたくありません。
お絵かきもしたくないからぐちゃぐちゃ。
お歌も歌いたくないからめちゃめちゃ。

…なのに、あれ?あれあれ?
かいじゅう幼稚園の先生は、そんなビリーをびっくりしてほめるんです
どういうこと?!

読者の予想を巧みに裏切る小気味よさで、ほめて育てる育児のコツ、どんな些細なことでも美点に仕立て上げるワザまで伝授してもらったような、晴れやかな気分になれる絵本。
全国のいたずらビリーとその家族、先生に捧げたい軽やかで重要な育児バイブル。

はじめての幼稚園にどうしても行きたくない、でもとうとう連れて行かれてしまった、ちびっこかいじゅうビリーの記念すべき初登園奮闘記。
行けばきっと楽しいし、いいこにしていたらごほうびの「ほしワッペン」がもらえると、なだめられてもすかされても、ビリーは幼稚園になんかまったく行きたくありません。
だって、だって…、行きたくないんだもの。そんなとこどんなとこだかわからないんだもんね。いいこになんかしていたくありません。
お絵かきもしたくないからぐちゃぐちゃ。
お歌も歌いたくないからめちゃめちゃ。
あーあ、先生やお友だちのまえでそんなことをしたら・・・、という、子どもたちの悲鳴がきこえてきそう。

…なのに、あれ?あれあれ?
かいじゅう幼稚園の先生は、そんなビリーをびっくりしてほめるんです

小さな読者や、ともすると読み聞かせのハハの当初の想像、というか、一般常識みたいなものも、巧みに裏切る新鮮さで、かいじゅうの先生のどこかピントのずれた(?)それでいてふところのでっかいやさしさ・ほのぼのさには、感服です。
どんな些細なことでも、美点に仕立て上げ、子どもの自尊心を大切に育てるワザ、ほめて持ち上げて子どもの自信とやる気をはぐくみ、いつのまにか自発的に行動を起こさせるコツは、大いに育児の参考になりそう。

のびやかで軽やかな水彩で、ちょっぴりコワモテのかいじゅうを、とても楽しく愉快に描き、こわいものみたさ・聞きたさの3−4歳にとても好評。

原書は『THREE-STAR BILLY』Greenwillow Books,U.S.A. 1994年。
いたずらかいじゅう・ビリーと、おねえさんのヘイゼルのまきおこす、愉快で楽しい絵本シリーズの1冊です。

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『せかい一わるいかいじゅう』
パット・ハッチンスさく
いぬいゆみこやく
偕成社

せかい一わるいかいじゅうシリーズ第1作。
おねえさんのへーゼルが主人公です。ビリーはまだあかちゃん。
アメリカ版 『 あなぐまメルくん 』 ( 福音館書店 ) という感じで、二人目育児必読の書かも。
愉快で奇怪なかいじゅうの世界でも、上の子の下の子に対するジェラシーは、普通のお姉ちゃんと一緒なのです。

小さな兄弟姉妹育児によくある、ちょこっと困ったチャンや弱ったチャンのまきおこす騒動を、等身大にユーモラスにスパイシーにつづった、身近で頼りになる育児応援絵本。

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『いたずらかいじゅう
どこ?』

パット・ハッチンスさく
いぬいゆみこやく
偕成社

かいじゅうシリーズ第2作。よちよち歩きのいたずらざかりの弟ビリーが堂々の主人公。ヘーゼルは、いつのまにかすっかり大人びています・・・苦労したのかしら(笑)。
やさしいおばあちゃんが孫の顔を見にやってきますが、あれ、ビリーはいません。
けれど・・・めちゃくちゃに荒らされたこの部屋は、たしかにさっきまでビリーの潜んでいた形跡が。

おばあさんとおかあさんとヘーゼルは、ビリーの残した派手な痕跡をひとつひとつたどりつつ、実際に目の前にしたら気絶しそうなカオス状態の、そしてもぬけの殻の部屋を確認して、とうとう、後一つだけ残された静かな部屋へ・・・。

ビリーの華やかないたずらをものともせず、「まあ、もうこんなことができるようになったのね」と美点にすりかえて感動するおばあさんの、浮世離れした無邪気さがいいお味。
わがやのビリーちゃんたちのいたずらを、こんな風に受け止める余裕と茶目っ気を・・・忘れたくないですよね。

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『いたずらかいじゅうビリー!』
パット・ハッチンスさく
いぬいゆみこやく
偕成社

かいじゅうシリーズ第三作。
どんどんやんちゃに成長していくいたずらビリーは、ヘーゼルのすることなすことうらやましくてまねしてみたくてたまりません。

せっかくヘーゼルが機嫌よくおもちゃで遊んでいると、さっそくビリーがお邪魔にやってきて、いやといったら大泣きです。
こんなとき、家族の大人は何というか・・・「おねえちゃんなんだから、ビリーはまだ小さいんだから、ね」

上の子にとってはなんて切ない台詞。
しかしヘーゼルはけなげにビリーに譲り、それでは、と別のことをしようとします。
するとビリーはすぐさままたまたお邪魔にやってきて・・・。

最後のページの家族のお茶目な表情が、ちゃんとヘーゼルの気持もわかってくれていて、世の中の上の子の気持を明るく救ってくれるよう。
ビリーはまだ小さいんだもん、ね。

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『いたずらかいじゅうの
たんじょうび』

パット・ハッチンスさく
いぬいゆみこやく
偕成社
2000年

いたずらビリー第4作。
あのビリーもここまで成長したのですね・・・。
そんなビリーの誕生日、ビリーは家族のひとりひとりから一つずつすてきなプレゼントをもらいます。
「ぼくたちもあそんでいい?」
ともだちがききますが、だれにもつかわせたくないビリーは「だめ!きょうはぼくのたんじょうびだもん!」

そこでともだちは、みんないっしょに、プレゼントの箱やひもなどの廃品で遊びました。
ビリーは、ひとりで、中身のプレゼントで遊びました。
ビリーは、ぴかぴかのプレゼントを思い通りひとりじめしつつも、いつしか、みんなが他のものを利用して一緒に楽しく遊ぶのを、何となく思惑はずれに眺めているのでした。
そして、最後にヘーゼルがくれたプレゼントは、ひとりでは楽しく遊べないゲームでした・・・。

ページごとのくちずさみやすいテキストと、ビリーやともだちの表情の変化の繰り返しが楽しい、リズミカルな階段をかけのぼるような絵本です。
シリーズを通して、大きくたくましく育ったビリーの、小さな成長がつくづくといとおしい、軽やかなコワモテ骨太絵本。

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