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『はなのこどもたち』 イーダ・ボハッタ作 松居スーザン訳 永嶋恵子訳 童心社 2005年
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すこしずつ みんなをしあわせにできたらいいな
自分をはぐくむ命の力を信じ、そして自分がはぐくむ命の力を信じ、懸命に咲く可憐な野の花とそのこどもたちを、穏やかなまなざしと澄んだ筆で描いた、手のひらサイズの愛らしい詩集絵本。
無垢な幼子に姿に託された、はなのこどもたちの、穏やかで満ち足りた表情を、いつまでも守ってあげたい。目立たない花の静かな命の喜びを、ともに祝って、ずっと見守ってゆきたい。絵本がくれた優しさを、誰かにそっと伝えたくなるような、奥ゆかしく美しい古典絵本。
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なんて愛らしい絵本! 手のひらサイズ(14.8*12.1センチ)、20ページの、可憐な野の花のような絵本です。 穏やかな優しさと無邪気な愛くるしさにつつまれた表紙にひとめぼれして購入、絵本カバーをそっと外すと・・・
DIE FRÜHLINGS- KINDER
カバーでは日本語タイトルの「はなのこどもたち」の部分に、手描きと思われる原書タイトルが、そっと型押しで、刻まれているのです。背表紙も同じで、カバーを外すとドイツ語タイトルのエンボス加工なので、ぜひそっとさわってみて!
原書は、『Die Frühlingskinder』arsEdition,München、コピーライトは2001、とあります。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『Die Fruehlingskinder』 ars edition, Mchn
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ほのぼのと愛らしい絵本をひらくと・・・
花のこどもたち。
りんごのほっぺたもふっくらとした、あどけない花のこどもたちが、瞳をくるくると輝かせて、にっこりとほほえみをうかべています。 花びらのぼうし、葉っぱのえり、花の色の服をまとった、ちいさなちいさなおしゃれさん! 淡い水彩のさらりとしたイラストは、澄んだ空を眺めているような穏やかさ。
そして、花のうた。 ねこやなぎ、 やぶいちげ、 かぎのはな、 すみれ、 ヒース、 ちいさなはな(りんご)、 ふうりんそう、 のばら
野にそっと咲く、静かでめだたないけれど、可憐で小さな花の、穏やかで優しいおしゃべり。
ねこやなぎ
おはなたちは うつくしい ふくがすき はなやかで かおりだかい ふくがすき
なのに ねこやなぎは なぜ こんなぼさぼさの はいいろのぼうしを かぶっているの?
「もうすぐはるだよと みんなを はやく よろこばせたいから あったかくなるのを またずに いますぐ これをかぶって でていくの」
引用;『はなのこどもたち』の中の詩「ねこやなぎ」
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つつましやかな小さな花たちの、つつみこむような大きな愛。 みんなによろこびを、しあわせを届けたくて、飾らないありのままの姿でけなげに花を咲かせる、凛とした可憐な花たちの愛らしい8つの詩が、一冊の小さな絵本の中に花開いています。 あどけないはなのこどもたちの姿に託されているのは、他者を受け入れて、ひたむきに信じる、生まれたばかりの赤ん坊のように無垢でまっすぐな心。そして他者を和ませ、新しい活力を与える、生命力に満ち溢れた若々しい姿。 自分をはぐくむ命の力を信じ、そして自分がはぐくむ命の力を信じ、懸命に咲く可憐な花とそのこどもたち。 命の喜びを穏やかな詩と絵でつむいだ小さな絵本を手にするとき、その無垢で無防備で、はかないものたちを、心からいとおしく、大切に思う、作者の真心が伝わってくるようです。
大好きな、ドイツの古典、ジュビレ・フォン・オルファースさんの『ねっこぼっこ』▼(平凡社)の世界にも通ずるような、大地のめぐみの世界。 またひとつ、大切な宝物が増えました!
いいえ、イーダ・ボハッダさんの絵本は、シリーズでまだまだ続くのです!嬉しい!
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『かわいいひかりのこたち』 イーダ・ボハッタ作 松居スーザン訳 永嶋恵子訳 童心社 2005年
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たんぽぽの花びらのように、黄色い元気な髪と服の、かわいいひかりのこたちが、毎朝花たちのところへ舞い降りて、ひとときたわむれ、よりそって、めぐみをあたえ、日が暮れると空へ帰って行く・・・。
生きとし生けるものすべてにやさしいまなざしを注ぎ、穏やかな光を当て、命の喜びをうたった小さな絵本。
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原書は『Die lieben Sonnenstrahlen』arsEdition,München、コピーライトは2001、とあります。 この絵本も、上記の『はなのこどもたち』▲と同じく、表紙カバーを外すと、黄色い手描きの原書タイトルが、大切にエンボス加工で記されています。カバーを外した背表紙の原書タイトルも、同じ加工。 アマゾン洋書ではこちら。↓
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『Die lieben Sonnenstrahlen』 ars edition, Mchn
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タイトル、表紙にもあるように、たんぽぽの花びらのような元気のよい黄色い髪と、服、そして細い2枚の羽を背に持つ 「かわいいひかりのこたち」 が、野の花たちとともに小さな活躍をする8つの詩に、8枚の可憐なイラストが添えられた、手のひらサイズの詩集です。
ふゆだいすき おねぼうさん かくれんぼ あたらしいぼうし あさとよる わたしのいばしょ あさがおのきぼう きんのかんむり
おそろいの姿も愛らしく、小さな働き者の「かわいいひかりのこたち」は、それぞれの詩とイラストの中で、花たちにそっと時を知らせたり、たわむれたり、よりそったり・・・。 穏やかに天からそそがれる「かわいいひかりのこたち」のめぐみを受けて、野の花たちは、いっそうけなげに愛らしく、命の輝きをうたいあげています。 与えられた力を、信じて。 備わった力のすべてで。 だれかはみんなのために。みんなはだれかのために。
手のひらサイズの、20ページの、小さな絵本ですが、描かれている世界は、その絵を小窓とするようにとてもとてもゆったりと広がり、そっと穏やかな風と光と花の香りで、つつみこんでくれるよう。 ほんわかとした淡い黄色と、草色のとりあわせのみずみずしく美しいイラストは、ゆっくりと眺めるだけで、心が落ち着き、うるおってゆくようです。 奥ゆかしい小さな8つの詩は、ひとつひとつを全文書き写したいくらい、好き。
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『ほしのこどもたち』 イーダ・ボハッタ作 松居スーザン訳 永嶋恵子訳 童心社 2006年
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静かな青い夜空に、ほしのこたちが光ります。そっと、小さくても自分で輝く光。 そして、ほしのこたちは与えます。そっと、小さくてもみんなを照らす光。
ちいさなほしのこたちの光につつまれた大きな愛が、穏やかに、心を照らしてくれる絵本。
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原書は『Sternschnuppen』、コピーライトは2000年、arsEdition,Munchen、とあります。 邦訳『ほしのこどもたち』の表紙カバーを外すと、原書タイトルが、てざわりもやさしい型押しに。
小さな絵本をそっと開くと・・・大好きな青。少しくすんだ静かな青の夜空に、頭から淡い黄色の光を放つほしのこどもたち。 どの頁のこどもたちも、ふっくらとやさしくあどけなく、穏やかな落ち着きをたたえています。眺めているだけで、心がゆっくりとほどけていくよう。 いつまでも大切に守りたい、こもりうたのようなイラストと、テキスト。 それぞれに輝く小さな星のような、8つの詩がおさめられています。
くものゆりかご ほしのこ しんぼうづよいおつきさま すいせいくん おつきさまはびょうき ながれぼし いいな こもりうた
くもりのない温かなまなざしで、夜空にまたたく星のひとつひとつに、その星だけのかけがえのない輝きを見出し、その星だけの物語を見出し、そっと私たちに届けてくれる・・・そんな星からの小さな贈り物のような、愛らしい絵本。 そばにいる誰かに、離れている誰かに、目に見える誰かに、見えない誰かに、大きくつつんでくれる誰かに、小さく示してくれる誰かに、生きとし生けるものに、感謝の祈りを捧げたくなるような、いとおしい絵本。
ねん ねん よいこよ ほしのこの ようなこ ほしのこが ひかるよう あなたも ひかりなさい ほしのこが いきるよう あなたも いきなさい ・・・ (「こもりうた」)
原書をアマゾン洋書で検索すると、こちらなど↓
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『Sternschnuppen』 Ars Edition GmbH 2005
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くものベッドに三日月が横になり、ほしのこたちが看病する表紙は、邦訳『ほしのこどもたち』の中の、「おつきさまはびょうき」のイラスト。
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『雨だれぽとり』 イーダ・ボハッタ作 松居スーザン訳 永嶋恵子訳 童心社 2006年
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ぽとりというかそけき音の、確かな響き。時満ちて、熟れて、そのめぐみをともなって、まっすぐ落ちてゆく、小さなしずくの誕生の音。
ぽとりぽとりが集まって、「雨だれ岩をもうがつ」。 小さいけれど、強い力を秘めているかわいい雨だれたちの、きらりと光るおしゃべりを、8つ。 心にぽとりと、美しい波紋が広がる絵本。
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原書は『Regentropfen』、コピーライトは2000年、arsEdition,Munchen、とあります。 この『雨だれぽとり』は、表紙カバーのタイトルのレタリングも美しい。カバーを外すと、まさしくアマゾン洋書の表紙画像のよう。↓
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『Regentropfen』 Ars Edition GmbH 2000
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今度はかわいい雨だれやしずくのこの、小さなおしゃべりがぽとり。表紙にいるのはしずくのこびとでしょうか、本文には、おなじみの幼子の姿を借りたしずくのこたちもたくさん登場しますが、あまだれせんせいやあまだれくんもまじっています。
雨のしずく、うみのしずく、かわいい雨だれのうたのような詩が、8つ。
あまだれせんせい あまだれくんのかさ ごにんのあまだれ なぐさめ いずみ しずくたちのでんぐりがえし いばりんぼのしずく あめ
「あまだれくんのかさ」って、何かしら? 雨が、雨にぬれないための雨傘をもつなんて? と、思ったら・・・答えが洒落ています。さすがあまだれくん!
「なぐさめ」の、新米の雨だれのなげきをきいてみて。
「ああ、わたしのふくがきれいすぎる!」 「まあかわいそう!」 ぬまのあまだれたちはくちぐちにいった。 「だけどしんぱいはいらないわ ・・・
小さいけれどユーモアとウィットがきらりと光り、小さいけれど自分らしい誇りに輝いています。 最初はぽとりと空から降ってくるしずくも、だんだんみんなが集まると、流れになり、海になり、うねりになり、波になり、はかりしれないちからに、めぐみになるのですよね。 雨だれは目に見えるけれど、その数を数えた人はいません。 けれど雨だれのめぐみを、こんなに愛らしい絵本に記してくださった人がいました。イーダ・ボハッタさん、ありがとう!
雨の日も、晴れの日も、どこかにいる小さな雨だれを思って読みたい、いとおしい絵本。
アマゾン洋書で見つけた珠玉の絵本たちはこちらなど多数↓ 広く長く愛され続けているのですね。
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『Sankt Nikolaus』 ars edition, Mchn
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『Elfenkinder. Lieder, Reime und Geschichten』 ars edition, Mchn
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『Eismaennlein』 ars edition, Mchn
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『Die Fruehlingskinder』 ars edition, Mchn
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『Elfchen』 ars edition, Mchn
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『Familie Braun』 ars edition, Mchn
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『Bluemlein im Winter』 ars edition, Mchn
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『Sternschnuppen』 ars edition, Mchn
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