■エリック・ピュイバレさんの絵本 |
Eric Puybaret 1976年フランス、ヴィシー生まれ。パリ在住。フランス国立高等装飾美術学校で学んだ後、イラストの世界に入る。99年イタリア、ボローニャ絵本フェスティバル賞受賞。 (『月と少年』アシェット婦人画報社 表紙カバー見返し 著者紹介 より) |
『月と少年』 |
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『月と少年』 絵と文/エリック・ピュイバレ 訳/中井珠子 アシェット婦人画報社 2004年
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ティモレオンは、むずかしい月のみちかけ屋さんの試験に受かったばかり。年老いたザモレオンじいさんと交代するために、さっそく薬を飲んで月へ行こうとしましたが、そのたいせつな薬をなくしてしまって・・・。
幻想的な月明かりに、街の人々の個性ややさしさが光る美しい絵本。人々の親切な協力方法と、ティモレオンの試行錯誤の繰り返しが、ちょっぴりナンセンスでメルヘンいっぱいの楽しさ。クライマックスは圧巻! 月夜を見上げるのが、楽しくなりそう。
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ティモレオンは、宇宙学校で、月のみちかけ屋さんになるための、とてもむずかしい試験に受かりました。ずっとこの仕事を勤めてきたザモレオンじいさんの代わりに、今夜、月へ飛んでいくのです。たったひとつぶしかない、月へ飛んでいくための薬ももらいました。 「月にむかってしゅっぱーつ!」 ところが、ゆびでいくらズボンのポケットをさぐっても、あるのは穴ばかり、薬はありません。
「どうしても月に行かなきゃいけないのに、空気のようにかるくなるくすりをなくして、行けなくなっちゃった・・・」 どうしていいかわからないティモレオンに、街の人々は、いろいろと知恵をしぼってくれますが・・・。
青い月夜の神秘的なイラストに、夢とユーモアと人々の温かさが、いっそうきらきらと輝きを添えるような大型絵本。 毎晩月に大きな布をかぶせることで、月のみちかけをつかさどる、「月のみちかけ屋さん」というめずらしい仕事の発想が、心地よいメルヘンをかきたてます。孤独で、大変な力と技が必要で、満月の夜しか休めないむつかしい仕事ですが、老いたザモレオンじいさんの代わりに、希望に燃える若いティモレオンが、いままさに旅立っていこうとする展開も、読んでいて力がみなぎってくる感じ。
ティモレオンに力をかす街の人々の、職業をさりげなく象徴した個性的な洋服も、考え出したそれぞれの月へ行く方法も、ながれるように美しいレイアウトとともに、すみずみまで見どころたっぷり。こだわりを感じるテキストのフォントも、なめらかな弧を描くそのフォントの配列も、幻想的なイラストに華を添えているよう。 クライマックスの力強く美しい仕掛けページは、メルヘンとユーモアとやさしさにあふれていて、いままで読んできたことが嬉しくなりました。登場人物の選択も順番もなるほどで、細やかな配慮がゆきとどいているのがわかります。
この人々のすむこの街の月の輝きにふさわしい、とびきりのメルヘンの、美しい青い世界に、たっぷりとひたれる絵本。
原題は、『Cache-Lune』 2002,GAUTIER-LANGUEREAU
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