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『あかいことりとライオン』 エリサ・クレヴェン 絵と文 たがきょうこ 訳 徳間書店
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ある日、赤いことりはきれいな緑色のしっぽをした不思議なライオンに出会います。 言葉は通じませんが、にっこりほほえむライオンの、しっぽの秘密が知りたくて、ことりはライオンのほらあなの近くの木に巣をこしらえます。 次の日、出てきたライオンのしっぽは、なんと素敵なだいだいいろでした・・・。
ますます深まるしっぽの謎とともに、寡黙なダンディ・ライオンへの淡い思慕もつのってゆく、惹かれあう二人の愛らしいひそやかな物語。ちりばめられたコラージュもきれい。
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原書は『THE LION AND THE LITTLE RED BIRD』(Dutton Children's Books,a division of Penguin Books USA Inc 1992)とあります。
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『THE LION AND THE LITTLE RED BIRD』 Elisa Kleven(著) Bt Bound
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さまざまな素材の持ち味を活用した、温かみのある美しいコラージュの絵本は、1958年生まれのアメリカの人気絵本作家、エリサ・クレヴェンさんによるもの。 元教師の経歴をもつエリサ・クレヴェンさんは、アーティストだった祖母、母親の影響もあって、独学で絵を学び、数々のイラストの賞を受賞なさっているそうです。 邦訳作品も多く、『おひさまパン▲』(金の星社) は、確か、「第9回日本絵本賞読者賞【山田養蜂場賞】」の候補作品に上げられていたので、書店などでお目にかかった方も多いのではないかと思います。 『エルンスト』 ( リブロポート)の復刻・新訳・改訂版の『おたんじょうびのエルンスト』(学研) は、美しいコラージュのイラストとエルンストぼうやの愛らしく温かな空想のテキストで、とても人気の絵本のようですね!
『あかいことりとライオン』のテキストも、これまた、ぬくもりあふれるとびきり可愛いお話です。 ある日、赤いことりはきれいな緑色のしっぽをした不思議なライオンに出会います。言葉は通じませんが、にっこりほほえむライオンの、しっぽの秘密が知りたくて、ことりはライオンのほらあなの近くの木に巣をこしらえます。 次の日、出てきたライオンのしっぽは、なんと素敵なだいだいいろでした・・・!
交わす言葉はありませんが、ライオンと小鳥の確かな友情の絆と、あっ、そうだったの!という、楽しい謎解きがとてもおしゃれ。 ほのぼのとした、愛らしいファンタジーになっています。
エリサ・クレヴェンさんのコラージュ作品は、「私もこんな絵が描けたらなあ」と、つい思わせるような、親しみある素材の巧みなコラージュ。さまざまな微妙な色のまとめ方といい、全体の奏でるハーモニーの心地よさといい、丹精込めて仕上げられた素敵なパッチワークのようです。
小さな子の読み聞かせにもおすすめですので、図書館などでお読みになってくださいね。
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ところで、『あかいことりとライオン』は、ことりとライオンの言葉を介さない静かな友情が美しいファンタジーでしたが、「本当にあったお話」として、ロシアの文豪トルストイの短いお話に、
「ライオンと子いぬ」 『トルストイのこどものための本2 読本巻の2』より
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が、あります。私が読んだのは、図書館で借りた、理論社の児童書『トルストイのこどものための本 2 読本巻の2』の中におさめられているお話。
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『トルストイのこどものための本 2 読本巻の2』 レフ.N.トルストイ著 樹下 節訳 理論社 現在品切れ
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ロシアのすべての子供たちの教育のために、文豪トルストイがあらゆる才能と情熱をそそいで作成した、こどものための読み物、「新綴字教科書(はじめての本)」と「ロシア読本(児童読本)」4巻をもとにした本。
この『トルストイのこどものための本』全6巻は、トルストイが心血そそいで、世界中から集め選びぬき磨きぬいた、多数の物語や、詩、たとえ話、実話、科学的知識を深めるお話、トルストイ自身の創作、などが、幼年時代から順を追って習得できるようにバランスよく配置されています。
読本2巻には、たとえ話「きつねとぶどう」、おはなし「金髪の王女」、子ども百科「窓があせをかきつゆがむすばれるわけ」、実話「ライオンとこいぬ」などなど、60篇あまりがおさめられています。 残念なことに・・・品切れ。
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あるときロンドンで、ライオンの見世物小屋がありました。見物にはお金か、エサとしてこいぬやこねこの提供が必要でした。 ありときある人がこいぬを差し出したのですが、どうしたことかライオンはそのこいぬを食べませんでした。 それどころか仲良くなり、一緒に遊ぶようになったのです。 そして一年共に暮らした後、こいぬは病気で死にました。 ライオンはこいぬが死んだとわかると、毛を逆立てて、ほえ、あばれました。死体を取り出そうとする人間を追い払い、決してさわらせようとしませんでした。 そして、ライオンは、死んだ犬を抱いて、6日目に死にました。
・・・という、お話。
ライオンとこいぬの、言葉のない心の結びつきが、どんな言葉よりも強く、心をゆさぶります。 よろしければ図書館などでごらんになってくださいね。
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『ちきゅうはみんなのいえ』 リンダ・グレイザー文 エリサ・クレヴェン絵 加島葵訳 くもん出版
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ちきゅうってなんだろう。ちきゅうはだれのもの?水も土も雨も太陽も、風も空気も、ちきゅうにすんでいるみんなのもの。
みんなの地球、たったひとつのかけがえのない地球からのメッセージが、美しいイラストとテキストのあたたかな絵本になりました。
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エリサ・クレヴェンさんの華やかでにぎやかなイラストが、地球のすべての命の喜びをうたいあげます。
たくさんの色、たくさんの素材を、繊細なパッチワークのようにまとめあげた楽しいイラストの中に、日本語の印刷物や和風の素材のコラージュもさりげなくおりまぜられていて、ますます親しみがわいてきます。 テキストも温かみのある手描きの文字で記されていて、大切にしたためられたお手紙のよう。 小学2年生の3姉妹長女が音読するのにぴったりでした。 こんな教科書で、みんなの地球について学べたらいいですよね。
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エリサ・クレヴェンさんの絵本 「あ」の絵本箱へ

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