■アンティエ・グメルスさんの絵本 |
Antje Gummels 1962年旧西ドイツ生まれ。高校からイタリアで暮らし、音楽、絵画、舞台芸術を学び、絵本の創作を始める。89年来日。画家。他の絵本には、『くまときょじんとおおきなケーキ』(学習研究社)などがある。日本在住。越後鶴亀蔵元・夫人でもあり、毎年、謹賀新年干支ラベルの作成も手がけている。 |
『こわがりうさぎホッペル』*『そらをとんだこぶたのアントン』*『おおかみと7ひきのこやぎ』 |
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『こわがりうさぎ ホッペル』 アンティエ・グメルス作・絵 ゆきのゆみこ文 ひさかたチャイルド 2006年
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どうしよう、おそろしいモンスターに、ともだちがみんな石にされちゃった! ともだちを助けるために、こわがりうさぎのホッペルは、ありったけの勇気を奮い起こして、一歩を踏み出します。すると・・・
たたけよ、さらばひらかれん・・・? 色鮮やかで、ほんのり艶っぽいお洒落な絵本。こわがりのちびっこたちに、ホッペルが勇気と知恵をわけてくれるよ!
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なかよしのどうぶつたちがあつまって、もりでひとばんすごすことになりました。 みんなたっぷり遊んで疲れて、森の空き地でぐっすりねんね。けれどただひとり、こわがりうさぎのホッペルだけは、くまのいびきが気になって眠れません。長い耳をきゅっと結んだものの、 「モンスターでもあらわれたらどうしよう!」 おりしもそのとき、モンスターが!
モンスターの魔法のバイオリンで、みんなが眠りながら踊らされても、こわがりのホッペルにはどうすることもできません。モンスターが朝日におわれて去った後、みんなはなんと石になってしまいました。 ホッペルがしくしく泣いていると、ことりが飛んできて、 「もりのおくにいいまほうつかいがいるのよ。どうすればいいか、きっとおしえてくれるわ。」
さっそくことりに案内されてどんどんいくと、なんと入り口におそろしいライオンがねています! ・・・
ペンによる線画と、色鉛筆による彩色でしょうか、パステルでしょうか。緑がかった青色、紫がかった青色、藍色などなど、豊かな表情をもつ青色が、とても印象深い美しい絵本。 明るい赤紫色とあわせて、とても華やかな雰囲気です。 動物たちも明るく愛らしいのですが、とりわけ、モンスターやライオンなどの、ぱっちりくっきりとしたお目目が、なかなか艶っぽくて色っぽくてときめいてしまいそう。 描きこまれた森の中の絵も、まほうつかいの館の中の絵も、ひとつひとつつぶさに眺めたくなる楽しさとにぎやかさ、物語にぴったりのちょいとこわーい雰囲気。
たちまち3姉妹とハハが夢中になりました。 ホッペルの勇気と知恵の成長物語も、小さい子の心をつかみ、大きい人の心を和ませてくれます。だーれも知らなくても、絵本を読んだあなたは知ってますよね、なんて、ひみつをちょこっとわけてもらったみたいな語りかけも嬉しいですよね。
余談:ヨーロッパ出身の画家の方の作品らしく、動物たちの中にはりねずみが登場しているところもハリ絵本ファンには嬉しいおまけでした。
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おはなしチャイルドリクエストシリーズ 『そらをとんだ こぶたのアントン』 作・絵/アンティエ・グメルス 文/ゆきのゆみこ チャイルド本社 2005年3月 (コピーライトは1994年)
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空を飛びたいと思ったことはありますか? これはそんな願いをかなえた、可愛いこぶたのアントンのお話。
不思議がちりばめられた、夢いっぱいの展開に、気持ちが晴れ晴れ、明るくなります。 こぶたの夢にも、神秘的なお月さまにも、魔法の雰囲気にも、心がときめく絵本。
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こぶたのアントンは、まいにちそらをみあげてためいきをついていました。 「ああ、そらをとべたらどんなにすてきだろうなあ・・・」
なかよしのおはようどりのカスパが、アントンを背中に乗せて、なんとかうきあがり、空を飛んでくれました。 ゆめのようなひとときをすごして、疲れた二人は、雲の上で夜までぐっすり眠りこみます。 おつきさまの声で目覚めた二人は、おつきさまの家に案内されて・・・。
うきうきするような軽やかな線と、明るくさわやかな色使いが、大空のように気持ちのよい絵本。 おとぎ話のような町並みの絵も、ファンタジックなおつきさまの世界の絵も、一度たずねてみたいような、ほのかなあこがれがつのります。
こぶたが空を飛べるはずはないというのは、果たして本当なのかしら? アントンを背中に乗せて飛ぶ、白い羽に赤いとさかのおはようどりのカスパが、まるで飛べないはずのにわとりみたいなところも、不思議な符号のような気がしたりして。
心に憧れと夢を持ち、強く願い続ければ、きっと天に届くかも。まっすぐな気持ちと、ひたむきな努力が、きっときっと実を結び、大空を羽ばたける日がきますよね!
この絵本は、チャイルド本社の発行する「おはなしチャイルドリクエストシリーズ」の一冊で、ペーパーバックの月刊絵本。 ハードカバー化になって、一般書店などで気軽に手に取れるようになったらいいですよね!
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『おおかみと7ひきのこやぎ』チャイルド本社 品切れ
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チャイルド絵本館 アンデルセン&グリム 『おおかみと7ひこのこやぎ』 文/西本鶏介 絵/アンティエ・エ・グメルス 2003年 品切れ
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むかし、かあさんやぎと7ひきのこやぎがいました。 ある日、かあさんがもりへ食べ物を探しに出かけている間に、留守番のこやぎたちの家に、おそろしいおおかみがやってきて・・・。
有名なグリム童話に、アンティエ・エ・グメルスさんの美しくあでやかな挿絵がそえられた大型絵本。 深く冴えた色使いの、アンティークな雰囲気のなかに、大きくて黒いおおかみの存在感が、魔的な魅力さえ放っているよう。 子ども心をくすぐるおそろしい物語と大人の心もつかむ美しい迫力の絵に、目が離せない絵本。
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かあさんやぎが留守の間に、7ひきのこやぎの家に、おそろしいおおかみがやってきました。かあさんの言いつけをちゃんと聞いているこやぎたちは、なかなかだまされませんが、おおかみのあの手この手に、とうとう扉を開けてしまって・・・。
有名なグリム童話に、アンティエ・エ・グメルスさんの美しい挿絵が添えられた大型絵本。 こっくりとした深い色使いが、昼なお暗い森の中に迷い込んだように、謎めいた雰囲気。その中で浮かび上がるように描かれた青色や、赤紫色、青緑色が、神秘的な燐光を放つよう。 こやぎの家の中のかっちりとしたしつらえや、お人形のようにぱっちりとしたこやぎたちの目が、しっとりとアンティークな雰囲気で、すみずみまで目が吸いよせられるような美しさ。 擬人化された美しい動物たちの、爪先立ちのような二本足歩行も、どこかバレエみたいで、独特の優雅さ。
とりわけ嬉しいのは、おおかみの大きさと邪悪で妖艶なその迫力。きっちりととがった爪、整えられた体中の黒い毛並み、ガラス玉のような緑色の大きな瞳に、紳士的というよりは、どちらかといえば魔女的な妖艶さを感じて、ぞくぞくしてしまいます。 ダンディな雰囲気のおおかみも好きだし、コミカルでユーモラスで、ちょいとなさけないおおかみも好きですが、あねごのようにきれいで悪女のようにしたたかな艶っぽいおおかみも、大好き。 おおかみがとうとうこやぎのうちに飛び込んでくる場面など、本当に悲鳴をあげそうなくらい美しい迫力なのですよ!
食べる、食べられるのちょっとこわーい絵本が大好きな3姉妹も、一目で気に入った絵本。 大切なグリム童話絵本の一冊になりました。
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