■アリソン・ジェイさんの絵本 |
Alison Jay イギリスのイラストレーター。印刷関係のことを学ぶ大学でイラストを専攻し、首席で卒業する。他の邦訳は、『ママのキスは、ね』(BL出版)『小さなおいのりのたび』(いのちのことば社)など。 |
『心の居場所を探しに』*『そらへのぼったおばあさん』*洋書 |
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『心の居場所を 探しに』 メアリー・ジョスリン作 アリソン・ジェイ絵 千葉茂樹訳 いのちのことば社 2001年
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あのかなたの岸にたどりついて、わたしの魂をゆさぶるような、すばらしいものに出会ってみたい
湖の渡し守の娘・クララは、まだ見ぬ向こう岸にあこがれて、手作りのボートで川をくだる冒険の旅に出ましたが・・・。
おごそかで美しい文と絵で、クララの心の軌跡を静かに描いた、人生の船出の羅針盤のようなの絵本。 これから人生を漕ぎ出していく人に。迷い道のただ中にある人に。
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ある山あいの湖のほとりに、クララという女の子が住んでいた。 クララのおとうさんは湖の渡し守。 クララは小さな頃から向こう岸にあこがれていたが、ある日とうとうボートのこぎ方を教わって、お父さんの仕事を手伝うようになると、 「もっとわくわくする人生をおくりたいな」 しだいに川を下って冒険の旅に出ることを夢見るようなった。
「ほかの人たちとささえあう人生は、とてもすばらしいと思うけどな。それに、この湖は、こんなに美しいじゃないか」 お父さんはクララを見つめて静かにそう言ったけれど、その年の冬、クララは友だちをさそって、ボートとなるかごを編み始め、春にはオールをつくり、とうとう夏に出発した・・・。
お父さんの大切にしている毎日の湖の渡し守の仕事よりも、もっとわくわくするような人生を求めて、友だちと冒険の船出をした少女・クララの魂の軌跡の物語。 ふっくらと温かみのあるイラストが、クララの揺れ動く心を、穏やかなまなざしで包み込んでいるよう。 澄んだ湖のように格調高い文章が、若いクララの情熱を丁寧に描き、クララの心が開いていくさまを静かに見守っています。
人生を模索する同じ情熱で旅に出た友達が、途中で自分の生きる道を見つけ、別れていくすがすがしい場面も、簡潔な文章の中に、二人の一瞬の複雑な胸のうちが推し量られて、とても印象的。 なおも自分自身の憧れを抱き、ひとりで旅を続けるクララが、海に出て波に押し戻される場面も、その後船乗りに教えを請う場面も、無駄のないシンプルな言葉の一つ一つが、心を直接ゆさぶります。
テキストとイラストがひとつになって、さまよえるクララが、旅の果てに見つけたものを描き出した、珠玉の絵本。 美しい言葉で静かに描かれ、美しいイラストで静かに照らし出されたクララの心の軌跡は、そのまま人生という航海の舵にもなるのでは・・・。
さまざまな余韻が胸を満たす、温かな絵本。 漢字かな混じり文で、あまり難しい漢字は用いられていませんが、ふりがながありません。少し大きい子が読むのに適しているかも。あるいは、絵本の形をかりた、大きい人のための物語。
テキストの作者、メアリー・ジョスリンさんが、聖書の言葉; 「神の国は・・・『そら、ここにある。』とか、『あそこにある。』とか言えるようなものではありません。いいですか。神の国は、あなたがたのただ中にあるのです。」(ルカの福音書17章20、21節) という言葉から発想を得て、自分の子どもたちのために書いた物語だそうです。 (『心の居場所を探しに』いのちのことば社 表紙カバー見返し 著者紹介より)
原書は『THE SHORE BEYOND』2000 Lion Publishing とあります。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『The Shore Beyond (ハードカバー)』 Good Books; No Amer版 (2000/04)
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『そらへのぼった おばあさん』 サイモン・パトック文 アリソン・ジェイ絵 矢川澄子訳 徳間書店 2001年
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「きらきらかわいいおほしさま、 いつかねがいがかなったら、 おそばへおどりにいきたいわ」
ななつのお誕生日に思った女の子の、100年の時をへた、おきゃんでおしゃれなファンタジー。 美しいビロードのようなタッチのイラストが、夢とあこがれをふくらませ、星のまたたきのようなテキストが、リズミカルなときめきを刻みます。 さあ、あの夜空へいま、ご一緒に。
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望遠鏡でのぞいたような、不思議な広がりを持つふくよかなイラストの、澄み渡った美しい夜空の青に、せっせと木登りしているおばあさんのふんわりした後姿が、とても気になるメルヘンな表紙。
「そらへのぼったおばあさん」。 おばあさんがなぜそらへ?
それはね、おばあさんには夢があったからです。おばあさんが100年前、まだななつの小さな女の子だったときに、夜空のおほしさまを見上げて無邪気に願ったこと。
「きらきらかわいいおほしさま おそばへおどりにいきたいわ」
小さな女の子だったおばあさんさえも、すっかり忘れていたあどけない願いでしたが、ききつけた小さな星と空の仲間たちは、決して忘れてはいませんでした。陽気な空の仲間たちが集って相談し、とてもいいことを思いついたのです。 特別背の高い木の種を、女の子の庭に植えること! やがてすくすく、すっくすく大きくなった木は、100年後、とうとうこずえがそらのはしっこに届くまでになり・・・。
この100年というくぎりよい数字が不思議。 夢を抱いた小さな女の子がおばあさんになる100年も、庭の片隅の小さなタネが立派に育つ100年も、日々の成長をともに暮らしながら見つめ、ひとつひとつ数え上げてみれば長い長い月日だけれど、何万光年もの向こうの夜空にまたたくお星さまにとってはあっという間、そんなことまったくへいちゃらの100年なのです。 お星さまが、100年後のちいちゃな女の子を誘い出す台詞がとても粋!応じるおばあさんの恥らいつつも若々しい心がとてもおきゃん!
だって、邦訳は、矢川澄子さんですものね。 ひとつひとつの言葉が、お星様のようにきらきら輝いているようで・・・、
実は、この絵本を入手したすぐ後に、小さな新聞記事で、2002年5月29日矢川澄子さんの死の事実を知ったのです。 うそ! どうして、こんな素敵な絵本を残して、どうして・・・。
この作品が、矢川澄子さんの遺作ではないと思いますが、最晩年に近いものだと思うと、こみ上げてくるものがあります・・・。 どうぞ、ご冥福をお祈りいたします。本当に素敵な作品をありがとうございました。 そしてこの絵本を、どうぞ図書館などで、お子様とご一緒にお楽しみくださいね。 こんなおばあさんになれたら幸せ。
原書『A Ladder to the Stars』(Frances Lincoln 社) の初版は2001年、邦訳の出版も2001年。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『A Ladder to the Stars』 Frances Lincoln Childrens Books
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『I Took the Moon for a Walk』 Barefoot Books
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『ABC: A Child's First Alphabet Book』 Dutton Childrens Books
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さまざまな版がくりかえし出版されているようで、気になります。
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『Picture This...』 Templar Publishing
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こちらも、さまざまな版が。
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