■秋山あゆ子さんの絵本
秋山亜由子 1964年、東京生まれ。1992年より『月刊ガロ』(青林堂)に、主に虫を題材とした漫画を発表。絵本の作品に、『お姫さまのアリの巣たんけん』『お姫さまくもに会う』(共に「たくさんのふしぎ」1997年9月号、1999年10月号、福音館書店)などがある。その他の著作には、『こんちゅう稼業』(青林工芸舎)、『虫けら様』(青林工芸舎)などがある。
『くものすおやぶんとりものちょう』*『お姫さまのアリの巣たんけん』*『お姫さまくもに会う』

 

『くものすおやぶんとりものちょう』福音館書店

『くものすおやぶんとりものちょう』
秋山あゆ子さく
福音館書店
2003年こどものとも発行
2005年

町人文化の香りいっぱいの絵や、べらんめえ口調の文が新鮮。
くものすおやぶんの網の目からは、だれも逃れられません!
粋な文に耳を心地よくかたむけながら、細やかに描きこまれた絵のすみずみまで楽しめて、子どもたちがたちまちとりこになる絵本。

楽天ブックス

はるらんまんの むしの まち
さくらの はなも まっさかり、
あすは むしまち はるまつり
はなみだんごも ひょうばんの おかしやの みせさきから、
「た、たいへんです。ぬすっとから てがみが きたんです。おやぶんさん、たすけてください」
「なにっ。・・・ううむ、かくればねだと。なにものだ。ふてえやろうだぜい」

くものすおやぶん、出番です!

軽やかに描かれた江戸風の町も、口調のよいテキストも、舞台のような雰囲気を盛り上げる、楽しい時代劇捕物帳、虫たち版。
りりしいくものすおやぶんは、おにぐものあみぞう。愛らしいお目目の部下は、はえとりのぴょんきち。ぬすっと「かくればね」に春祭り用のお菓子をねらわれた大繁盛のお菓子やは、ありたちの店「ありがたや」。
今夜、くものすおやぶんが厳重な警戒を張り巡らす中、大胆にもその警戒網(文字通り!)を強行突破して、ありがたやの蔵の中のお菓子をねこそぎさらおうとする「かくればね」とは・・・。

着物の下からほどよく虫たちの特徴をのぞかせつつ、陽気に擬人化されているので、虫好きな子も大満足、こわがりの子も大丈夫。作者の虫たちに対する愛情が、すみずみまで行き渡っているような細やかな絵は、楽しいこだわりがいっぱい。どの虫がどんな擬人化をされているか、眺めるだけでも新しい発見がありそう。

ぬすっとを捕まえる親分の、明快な物語に、ぬすっとを探す場面の、巧妙なかくれんぼページが楽しい絵本。結末も天晴れ!

私の大切な絵本友達の一人に、この絵本を教えてもらったのですが、3姉妹ともどもたちまちとりこになって、楽しいひとときがすごせました。本当にありがとう〜、「ありがたや」です!

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『お姫さまのアリの巣たんけん』福音館書店

『お姫さまの
アリの巣たんけん』
秋山亜由子作
福音館書店
月刊たくさんのふしぎ
1997年9月号(第150号)
2006年

お姫さまと仲良し5人が、ひょんなことから仙人に小さくされて、アリの巣探検に導かれました。
知っているようで知らないこともいっぱいあるアリの生態が、ありのままに描かれた華麗な絵本。
一生懸命生きているアリたちの毎日を教えてくれて、アリがとう。

むかしむかし−
あるところにとても虫がすきなお姫さまがいました。
けらお、ひきまろ、いなごまろ、いなかだち、あまびこ

という虫の古名のあだ名の(姫ぎみがつけたのです)5人の大親友の男の子と一緒に、今日も一日、虫のかんさつのはじまりです。

裏庭で、みんながはいつくばって眺めているのは、たくさんのアリの行列。アリの穴に興味をもったみんなが、棒でつつくと、
「コラーッ」
いきなり穴の中から、アリの巣にすむ小さな小さな仙人が飛び出してきて、みんなの頭をつえでつついて、アリほどの小さな小さな姿に変えてしまい・・・。

庭のあちこちにたくさんいるアリたちの生態についての楽しい絵本。知っているつもりのアリたちですが、読んでナルホド、見てうなるほど。
普通の庭にいるアリにも、いろいろな種類のアリがいて、すべてが行列をつくるわけではなかったのですね!
そっくりなアリにも、こんなに違いがあるなんてびっくり。仲間同士で助け合うだけでなく、ある種の別の虫とも助け合って共存しているのですね。
それぞれのアリが、それぞれの役割をもって、懸命にはげんでいる小さな姿は神秘的ですらあります。
それにしても、つぶさに丹念に描きこんでいるたくさんのアリたちの図は、圧巻。
作者が本当に虫たちをいとおしんで描いているのが、すんだ色彩の美しいイラストから伝わってくるようです。

漫画風の展開でさらりと読めて、内容は熱心なアリのあつまりのようにぎっしり、充実していて、読み応えたっぷり。たちまちアリ博士になれちゃうかも。

余談ですが、姫ぎみたちが、小さくなる方法も、もとに戻る方法も、あまり他の絵本で例を見たことのない展開で、新鮮でした。大きさの劇的な変化が明快にわかるし、不思議なつながりがなんだか愉快で、その穴はどうなっているんだろうなんて、想像力を刺激されます。
穴づくしの『お姫さまのアリの巣たんけん』、月刊絵本でひそかな穴場(?)だったかもしれませんが、堂々のハードカバー化、嬉しい!

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『お姫さまくもに会う』福音館書店

お姫さまくもに会う

ビーケーワン

『お姫さま
くもに会う』
秋山亜由子作
月刊たくさんのふしぎ
1999年10月号(第175号)
福音館書店
品切れ

お姫さまとなかよし5人組が、ひょんなことから小さくなり、クモのはえとり丸に導かれ、身近ないろいろなクモについて学んでいく絵本。
いろいろなクモの生態にくわしくなれることはもちろん、はえとり丸とお姫さまたちの物語の奥深さも魅力的。
クモった心が晴れるよう。

ある夏の日、虫が好きなお姫さまは、なかよしの5人の男の子と、虫をさがしに出かけました。
「その山にははいらぬほうがいいぞ。クモのばけものが出るぞ」
と、畑仕事のおじさんに言われつつも、どんどん山にのぼり、夢中で虫をおいかけるうち、気が付くと池の前。ほとりには小さな古い社(やしろ)があり、そのかたわらの水辺には、大きな大きなハスの花が一輪咲いています。
花のあまいかおりにさそわれて、たまっているつゆをごくごくとみんなが飲んでいると、
「そのつゆをのんじゃだめだ」
社の中から、巨大なクモの妖怪・はえとり丸が現れました。といっても、悪い妖怪ではなく、過去に人に姿を見られ、ひどくおどろかせてしまったために、社のなかにとじこもって、裁縫をしたりして、ひっそりと暮らしてきたクモでした。
そして小さくなりたいと願い、小さくなる不思議なハスのつゆを飲むために、その「百年に一度だけさくおばけハスの花」が咲くのを待っていたのです。
そうとは知らず、つゆを飲んで小さくなってしまったお姫さまたちは、風にとばされてばらばらになり・・・。

野山のあちこちにいるいろいろなクモの生態のふしぎを、はえとり丸の導きによるお姫さまたちの探検の漫画形式で、丹念に美しく描いた科学絵本。
見事な糸の巣をかけるクモですが、種類によって巣の形やかける場所もさまざまだったり、そもそも巣をかけないものもたくさんいたり。そのかけ方の手順や、いろいろな秘密も知ることができて、これからクモの巣やクモを見つけるのが楽しくなりそうです。

楽しく得られる豊富なクモ知識もさることながら、クモのはえとり丸と人間のお姫さまたちのおりなす物語のちょっぴりの切なさも、『お姫さまくもに会う』の大きな魅力。
その見た目で、人に嫌われることの多いクモですが、はえとり丸が、こんなにも繊細で誇り高く、やさしい心をもっているなんて!
クモをクモらしく描きながら、擬人化したクモにおくゆかしく熱い人情の物語も重ねて、どこかほろ苦い余韻が糸を引く絵本。
今回の大きくなったり小さくなったりする方法も独特で、クモならではの小技や、はえとり丸ならではの大技も光って、印象的。

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