「あ」 から順に絶妙に並んだ、現代の 「いろはにほへと」 とでもいうべき驚きのテキストの絵本を読みました!
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『アイウエ王と カキクケ公』 武井 武雄原案 三芳 悌吉文と絵 童心社
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昔、あるところに、アイウエ王のおさめる豊かな国、アイウエ王国と、となりに欲深のカキクケ公爵のおさめるカキクケ公国がありました。
「アイウエ王」「カキクケ公」「サシスセ僧」・・・ときたら、次は?次は? と、わくわくしながら読み進むと、これが、びっくり驚きの新鮮さ、期待を裏切らない確かな面白さ。
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テキストの原案は、 『九月姫とウグイス』(岩波書店 品切れ) のエキゾチックなイラストをお描きになった、武井武雄さんです。
あとがきによれば、 「武井武雄さん作『アイウエ王物語』は、大正末期に「小学生全集」(文芸春秋社)に発表され、1976年、「小学生の楽しい国語」(リコー出版)に改稿再録、のち、武井武雄作品に収められている」 そうです。
この絵本は、1910年お生まれで、画家・挿絵画家としてご活躍の三芳悌吉さんが、武井武雄さんの作品の思い出をもとに、長年の思い入れを込めて文と絵をお描きになったものだそうです。 初版は1982年。新しく2004年にも版を重ねられているようで、今も普通に親子で手にとることが出来ます。よかった(しみじみ)。
テキストは、 昔、あるところに、アイウエ王のおさめる豊かな国、アイウエ王国と、となりに欲深のカキクケ公爵のおさめるカキクケ公国がありました。 アイウエ王国には、サシスセ僧という、徳の高いおぼうさまがいました。 ある日、カキクケ公に狩りにさそわれたアイウエ王は、まんまとわなにかかってカキクケ公の捕虜になり・・・。
という、お話。「アイウエ王」「カキクケ公」「サシスセ僧」・・・ときたら、次は?次は? と、三姉妹とわくわくしながら読み進んだのですが、これが、びっくり驚きの新鮮さ、期待を裏切らない確かな面白さ。 アイウエオのつながりと、物語の流れがぴったりよりそって、共鳴しあって、よりいっそう美しく豊かで巧みなハーモニーを奏で、知的好奇心を満足させてくれる感じです。
ある程度漢字が読めると、もっとテキストが面白いのかも・・・と、思ったりしましたが、ルビも適切にふってありますのでご安心。 三芳悌吉さんの、すみずみまで細やかに描きこまれた美しくわかりやすいイラストで、最近ひらがなを拾い読みでき始めた、4歳の二女にも、「あいうえお」の掛詞の面白さがちゃんと理解できたようでした。
そして、三芳悌吉さんの、この物語の思い出を、絵本にした、という、最初のページと最後のページの演出も素敵です。
よろしければ、図書館などでお読みになってくださいね。
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